佐賀県医師会長のご挨拶
「情報発信の強化」「県内医療機関の連携強化」に取り組む
佐賀県医師会長 志 田 正 典
2期4年にわたり会長職を務められた松永啓介先生の後任として、会長を仰せつかることになりました。私自身は、平成22年に常任理事に就任以来、専務理事、副会長として14年に亘り執行部で仕事をし、会長の職務を身近に見て参りましたが、今回、その重責を担うことになり、身の引き締まる思いです。
定例代議員会等で申し上げましたが、今期の執行部では、「情報発信の強化」と「基幹病院を含めた県内医療機関の連携の強化」に重点的に取り組む所存です。「情報発信の強化」については、会員に有益な情報は、会内での承認を簡略化して、より早く情報提供が可能となるように努めていきたいと考えています(最近では新型コロナ通知の情報内容を増やしました。また、直近では医療DX加算の情報提供を行っています)。また、「基幹病院を含めた県内医療機関の連携の強化」については、各地区で医療機関同士の顔の見える関係を構築して頂きたく、佐賀市医師会で開催されている基幹病院との交流会や、佐賀大学、好生館などの基幹病院で開催されている開業医との連携会議などの好事例を挙げて、各地区でも開催の検討をお願いしたいと思っています。
従来からの業務につきましても、日医や行政機関と連携し、真摯に会務に取り組んで参りますので、先生方には今後2年間のご協力とご支援をお願い申し上げます。
さて、政府は、2040年頃まで続く高齢化への対応と併せて、人口減少に対応した全世代型の社会保障制度を構築していくという基本理念のもと、制度改革を進めています。本年4月からは第8次保健医療計画、第9期介護保険事業計画、医師の働き方改革が施行され、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が行われました。また、医療DXの推進など医療を取り巻く環境は大きく変化しています。
政府は骨太の方針2024の取りまとめにおいて、現時点の議論では、2025年度から30年度までの「経済・財政新生計画」を策定し、2025年度の国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指し、財政健全化努力を堅持する方針を打ち出しています。また、財務省の諮問機関である財政制度等審議会においても、「歳出の目安」に基づく改革を継続する方針が示されています。しかし、これらは歳出抑制(医療費抑制)の政策であり、「歳出の目安」に基づく改革は医療水準を低下させると、松本吉郎日医会長は提言されています。
人口減は経済成長率を押し下げる要因であり、様々な分野や施策に影響を及ぼします。医療提供体制も同様に影響を受けます。特に地方では、人口減少に伴い、医療機関の数や医療従事者の確保が困難になり、医療サービスの質やアクセスが低下するリスクがあります。この課題に対処するため、医療機関間の連携強化が不可欠です。具体的には、地域の医療機関が役割を明確にし、効率的に連携することで、限られた医療資源をこれまで以上に効果的に活用することが求められます。例えば、高度な医療の提供、日常的な健康管理、慢性疾患のフォローアップなど、役割分担と機能分化の進展が必要です。医療機関間で患者情報を共有することで、診療の一貫性と効率性が向上し、無駄な重複検査や治療を避けることができます。これにより、地域住民が安心して医療サービスを利用できる環境を整え、医療の質と持続性を確保することが必要です。地域包括ケアシステムの構築・深化も連携の一つの形態であり、各地域の中でいかに無駄のない医療・介護・福祉提供体制の連携を構築していくかが重要です。また、これと並行して、医療機関の将来の判断材料に資するため、各種情報提供の強化に努めることも重要であり、これからの会務で具現化していく所存です。
次に、医師会の附帯事業である佐賀県医師信用組合、佐賀県医師国民健康保険組合、株式会社佐賀医協、関連団体である佐賀県健康づくり財団の健全運営と有効活用も、医師会の今後の運営を左右する重要な要素となります。
最後になりますが、今回の執行部の平均年齢は59.5歳と前期執行部から6歳ほど若返ります。全員一丸となり真摯に会務を遂行して参りますので、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、重ねてお願い申し上げ、就任のご挨拶とさせていただきます。