佐賀県医師会事業計画

令和4年度佐賀県医師会事業計画

 

   いわゆる「団塊の世代」の約810万人が後期高齢者となる2025年が、目前に迫っている。
 我々医療関係者は、行政との協力のもと、超高齢社会に対応した医療・介護を提供するため、地域医療構想の推進、地域包括ケアシステムの構築に取り組んできたところであり、今後もこれを更に深化させていく必要がある。
 一方、2020年1月に国内で第一例目の感染が確認された新型コロナウイルス感染症は、その後、周期的に増加と減少を繰り返してきた。更に2022年に入るとオミクロン株が爆発的な感染拡大を引き起こしているが、我々はその間、県及び市町行政、公立・公的医療機関、私的医療機関と協力し、役割を分担しながらその対応にあたってきた。その他、本県では近年、大雨による災害も頻発しており、新型コロナウイルス感染症などの新興感染症への対応とともに、大雨や地震などの自然災害といった有事における医療提供体制の構築にも取り組まなければならない。
 これまで日本医師会は、「社会保障は平時の国家安全保障である」との考えに基づき政策を立案・実行すべきであり、社会保障の根幹である国民皆保険は、自助、共助、公助のバランスを保ちつつ、堅持しなければならないと主張してきた。また、新興感染症、自然災害など有事の際の医療対応については、平時の地域医療を支える十分な財源確保こそが不可欠であるとしている。
 佐賀県医師会では、人生100年時代を見据えた保健・医療・福祉の実現と県民の健康寿命の延伸を目指すと共に、地域の実情に即した医療提供体制の確保・充実に向け、引き続き日本医師会や郡市医師会、県、市町行政と連携を図りながら、次に掲げる重要課題並びに事業項目の実現に努めることとする。

 

当面する重要課題

医の倫理の高揚

 医師は、その責任の重大性と尊厳を自覚し、教養を深め、人格を高めるよう心掛けるとともに、医療に関する法規範を遵守し、医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展のために尽力しなければならない。よって会員の資質の向上を図り、倫理の高揚を目指す。

学術専門団体としての活性化

 生涯教育の充実・強化と卒後臨床研修制度への積極的な関与。

医療介護総合確保推進法対策:地域における医療及び介護の総合的な確保の推進(地域包括ケアシステムの構築及び地域医療構想への対応並びに地域医療介護総合確保基金の活用)

 地域特性を反映した地域包括ケアシステムの構築にあたって、郡市医師会と市町行政が中心的役割を果たすことが求められており、在宅医療・介護連携推進事業の推進等、幅広い支援を行う。また、切れ目のない医療・介護・予防・住まい・生活支援が行えるよう、地域包括支援センターや地域ケア会議の有効活用、多職種協働の推進等を図り、誰もが住み慣れた場所で最期まで安心して暮らすことができる「まちづくり」を行う。
 一方、「地域医療構想」においては、「地域医療構想調整会議」に積極的に関与し、病床の機能分化と連携の推進、有事に際しての病床確保、在宅医療の充実、医療従事者の確保・養成等に取り組む。
 なお、これらの諸施策の実現にあたっては、地域医療介護総合確保基金の有効活用を図る。

地域医療計画及び高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画の推進

医師確保及び偏在対策の推進

 医師確保計画及び外来医療計画に基づき、地域及び診療科偏在対策の取り組みを推進する。

医師の働き方改革への対応

 医師の健康への配慮と地域医療の継続性の両立に向け、医療機関における労働時間管理の適正化やマネジメント体制の整備・充実に向けた支援を行うなど、医療勤務環境改善の取り組みを推進する。併せて、県民への上手な医療のかかり方の啓発を推進する。

5疾病5事業における地域連携パスの利用促進

災害医療への対応

 甚大化する自然災害に対する医療体制の強化。

 地域災害医療体制の強化。 

救急医療体制の確立

  新興・再興感染症への対応。 

生涯保健事業の体系化の推進

 健康寿命の延伸に向けて、異なる法律に基づき実施されている健(検)診制度の個々のデータを一元管理して、個々人のライフサイクルに応じた健康、保健、医療のために活用するシステムづくりを推進する。

予防接種事業及び感染症対策の充実

医療の適正化計画(生活習慣病予防対策)への対応

勤務医対策

 勤務医の医師会活動への積極的な参加を促し、開業医との連携による医師会活動の強化を図るとともに、医学、医術の振興と地域医療の再生を目指す。

医療従事者の育成確保と資質の向上

 医療従事者の育成確保と資質の向上は、医療機関における医療安全推進対策として不可欠であり、関係団体との連携を緊密化する一方、行政機関による積極的な支援策の具現化を働き掛ける。併せて、医療従事者の勤務環境の改善を推進する。

ICT、IoTの利活用推進

 ICT、IoTを利活用した日本医師会、都道府県医師会、郡市医師会、会員相互の情報交換体制の推進。また、ICT、IoTを利活用した医療現場の業務効率化を推進する。

医師会運営の安定化

 附帯事業部門を含めた医師会全体の財務の評価、検討を行い健全な運営を目指す。


新型コロナウイルス感染症対策の推進

 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制の強化と円滑な新型コロナウイルスワクチン接種体制構築の支援。

事業項目

 一 医の倫理の高揚
  1.「医の倫理綱領」及び「日本医師会綱領」の普及啓発
  2.患者・医師間の信頼関係強化と「佐賀県医師会の患者の権利に関する綱領」の推進
  3.番号法及び個人情報保護法の遵守と診療情報提供の適正化
  4.自浄作用活性化の推進
  5.人生の最終段階における医療・ケアに関する啓発

 二 医師会の組織強化
  1.財務運営の効率化による円滑な運営
  2.医療政策(医政)活動の強化
  3.各種委員会活動の活性化
  4.勤務医(含・卒後臨床研修医)の入会促進及び勤務医対策の活性化
  5.男女共同参画の推進
  6.郡市医師会及び各種専門医会等との連携強化
  7.佐賀県健康づくり財団との連携強化
 三 地域医療・保健・福祉推進対策
  1.地域医療関係
   ア 保健医療計画の推進及び見直しへの対応
   イ 医師確保及び偏在対策の推進
   ウ SAGA Doctor-Sプロジェクトへの参画
   エ がん対策推進計画への協力
   オ 循環器病対策推進基本計画への協力
   カ 国民保護法への適切な対応
   キ 広域災害救急医療体制の整備・充実
   ク 救急医療体制の整備・充実
   ケ 小児救急医療体制、周産期医療体制の充実
   コ 新興・再興感染症対応医療提供体制の整備・充実
   サ 死因究明等推進基本法に基づく検案体制の充実及び警察協力医師の組織化の推進
   シ 5疾病5事業における地域連携パスの利用促進による地域医療連携の推進
   ス 佐賀県診療情報地域連携システム(ピカピカリンク)を利活用した連携推進
   セ かかりつけ医のあり方の研究
   ソ 訪問看護ステーションとの連携
   タ 「人生の最終段階における医療・ケアのガイドライン」の普及及び推進
   チ 母体保護法の適切な運用と指導
   ツ 院内感染防止・褥創防止対策の徹底
   テ 医療安全対策の徹底
   ト 医療事故調査制度への対応と普及啓発
   ナ 医療機関の防火・防災体制強化への支援
   ニ 産業廃棄物の適正処理の徹底

  2.地域保健関係
   ア 「健康日本21」「佐賀県健康プラン」「さが健康維新県民会議」への対応
   イ 少子化対策
   ウ 肝癌対策の推進
   エ 生活習慣病対策の推進・拡充
   オ 糖尿病対策(含・重症化予防)の推進及び啓発活動(市民公開講座の実施)
   カ 糖尿病対策等における医科・歯科連携の推進
   キ 佐賀県糖尿病連携手帳の積極的な活用
   ク 禁煙対策の推進
   ケ 性教育対策の推進
   コ 学校保健の推進
   サ 乳幼児保健の推進
   シ 母子保健の推進・充実
   ス 産業保健の充実及び産業医部会の組織強化
   セ 精神保健福祉対策の推進
   ソ DV対策(含・児童虐待防止対策)の推進
   タ 自殺予防対策の推進
   チ 認知症対策の推進
   ツ 感染症危機管理対策の推進
   テ 新型コロナウイルス感染症対策の推進
   ト ワンヘルス対策の推進
   ナ 薬剤耐性(AMR)対策の推進
   ニ 地域リハビリテーション支援体制の整備拡充
   ヌ 難病支援体制の整備拡充
   ネ 介護予防対策の推進(含・ロコモ・サルコペニア・フレイル対策)
   ノ 日医認定医制度(産業医・健康スポーツ医)の普及・定着
   ハ SAGAスポーツピラミッド(SSP)構想への積極的関与
   ヒ 各種保健事業の効率的な運用の推進
   フ 生涯保健事業の体系化の推進・充実
   ヘ 特定健診・特定保健指導への対応
   ホ 県民健康増進啓発活動(公開講座の開催、はつらつ通信の作成・発行)

  3.地域福祉関係
   ア 高齢者保健福祉計画の推進
   イ 福祉事業の普及啓発(含・精神障害・身体障害・知的障害・発達障害対策)
   ウ 地域福祉(支援)計画の推進
   エ 障害者総合支援法への対応
   オ 障害者差別解消法への対応
   カ 小児在宅ケア体制の整備・充実

  4.医療介護総合確保推進法対策
   ア 地域包括ケアシステム構築への適切な対応
   イ 病床機能報告制度及び地域医療構想への適切な対応
   ウ 地域医療介護総合確保基金への対応
   エ 病床の機能分化・連携の推進
   オ 医療・介護提供体制の整備・充実
   カ 在宅医療・介護連携の推進など地域支援事業への適切な対応
   キ 佐賀県介護保険事業連合会等関係団体との連携・協力
   ク ICTを活用した情報共有システムの活用及び互換機能の充実に向けた研究

 四 生涯教育の推進
  1.日医生涯教育制度への参加促進
  2.佐賀医学会・日医生涯教育講座、各種講演会等の開催と内容の充実
  3.日医かかりつけ医機能研修制度への対応及び普及促進
  4.佐賀県医師会研修システムと佐賀大学医学部研修登録医制度の利用促進
  5.郡市医師会の生涯教育活動の支援
  6.卒後臨床研修(含・臨床研修修了後研修)への対応
  7.新専門医制度への対応
  8.オンラインによる講演会の普及及び推進支援

 五 各種医療保険対策
  1.各種公的保険(健康保険、介護保険、労災保険、自賠責保険等)の適正な運用に関する会員 

    への支援
  2.審査支払機関との連携強化
  3.医療保険制度・介護保険制度改正への対応
  4.自動車保険(自賠責保険及び任意保険)問題の適正処理及び研究
  5.後期高齢者医療制度への対応
  6.ORCAプロジェクトへの対応
  7.レセプト電子化対策
  8.オンライン資格確認への対応

 六 広報・情報化対策
  1.医界佐賀の充実
  2.常任理事会速報の発行等による諸情報の速やかな伝達
  3.報道関係各社との情報交換、連携緊密化及びその活用
  4.マスメディア等を利用した対外広報活動の強化
  5.インターネット、ファクシミリ等を利用した情報化対策
  6.日医文書管理システムの活用
  7.TV会議システムの活用
  8.ホームページの充実
  9.医師資格証(ICカード)の普及

 七 医師の働き方改革
  1.医師の働き方改革関連施策への対応
  2.女性医師離職防止・復職支援の推進
  3.女性医師相談窓口の設置
  4.佐賀大学医学部附属病院医師育成・定着支援センターとの連携
  5.勤務環境改善支援センター事業の推進

 八 医療従事者の育成確保と資質の向上
  1.郡市医師会立看護学校への支援
  2.医療従事者の育成確保と資質の向上に係る諸対策
  3.医療従事者の安定供給対策
  4.労働安全衛生対策

 九 医療機関の経営健全化対策
  1.各種公費補助制度の有効利活用の支援
  2.税務相談会・講演会の開催等、税務対策の強化
  3.医療法人対策
  4.労務対策

 十 会員福祉対策
  1.医事紛争に対する迅速且つ適切な対応
  2.新規開業会員への支援
  3.医師国保組合の健全な運営と加入促進
  4.(株)佐賀医協の健全な経営と会員の利用促進
  5.医師信用組合の健全な経営と有効活用
  6.日医医師年金制度への加入促進
  7.全国国民年金基金 日本医師・従業員支部への加入促進

 十一 その他必要な諸対策
  1.治験事業の推進
  2.その他必要な諸対策


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